【FW】

1位:小林悠(川崎フロンターレ)

 日本人FW3人による熾烈な競争を制して得点王を獲得。アシストも8つと、ゴールとアシストを合わせると31得点に直接絡んだ。川崎のJ1での全71得点のうち、44%に絡んだことになる。もちろん縦パスをフリックやポストプレーでつなぎ、ウィングや中盤の選手に前を向かせるなど、くさびとしての役割も担った。裏への飛び出しに加え、ダイビングヘッド、やや遠目からの位置からでも鮮やかなミドルシュートを決めるなど、ゴールのバリエーションも多彩だった。また数年来からの“怪我なくフルシーズン活躍する”という目標を達成。リーグ戦の全試合に出場し、途中出場は一度だけ。まさしく大エースの働きでJ1初優勝を牽引した。

2位:杉本健勇(セレッソ大阪)

 日本人としては規格外の長身と身体能力を持つストライカーがキャリアハイの22ゴール。得点王にはなれなかったが、チームの3分の1以上のゴールを決めたことは賞賛に値する。最大の武器である打点の高いヘッドに加え、アクロバティックなボレーシュートや飛び出しから流し込むなど、1タッチのシュートが非常に多く、チャンスメーカーの清武弘嗣や左サイドバックの丸橋祐介、右サイドの水沼宏太、ボランチのソウザなど、多くの縦の2トップを組んだ山村和也など、攻撃センスの高いチームメートにうまく活かされた結果でもあり、言い換えれば信頼に応える決定力を発揮した形だ。もし欧州移籍が実現すれば、アシストは桜の仲間たちからの最高の“はなむけ”になる。

3位:興梠慎三(浦和レッズ)

 最終的には20得点で3位に終わったが、終盤戦まで得点王争いの首位を走り続けた。前半戦は主に武藤雄樹、李忠成と“KLM”を形成して[3‐4‐2‐1]の“1トップ2シャドー”で阿吽のコンビネーションでゴールを量産。新加入のラファエル・シルバとも良好なコンビネーションを築いて自らのゴール量産につなげた。ペトロヴィッチ体制から堀孝史監督になり攻守のバランスを意識したシステム変更でチャンスの数は減少したが、チャンスを確実に仕留める決定力でペースを落とさなかった。アジア王者になったACLと並行しながら結果を出し続けたことも価値が高い。(文・河治良幸)