中島はとっさに避けようとしたが、うつぶせの状態では難しかった。

「まさか後ろや上から物が飛んでくるとは思わない。ほかの選手から『危ない!』と声がして、立ち上がる間もなく、横に逃げた。とっさに手で頭を隠したら、背中に物が落ちてきた。当たったときは『オレ?』と思った。メッチャ痛かった」(中島)

 思わぬ事態にスタンドは騒然となった。病院に急行して検査を受けたところ、幸い打撲で済み、午後1時過ぎに始まった試合もベンチ入りしたが、大事をとって出場を見合わせた。工事も中止され、ゲームスポンサーの看板がないまま試合が行われた。

 関係者によれば、設置工事はいつも午前11時までに終えることになっていたが、このスケジュールでは、デーゲームの場合、練習時間に重なってしまう。今回のようなアクシデントが起こり得ることを考えると、適切な判断だったのか、疑問が残る。ネット上でも「誰もいない夜中にやることはできなかったのか」などの批判が相次いだ。

 看板の落下事故で、チームの看板選手がけがをしたら、シャレになりません。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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