強風とともに注意が必要なのは薄暮である。7月4日の巨人vs広島(マツダスタジアム)では、たったひとつのプレーが試合の流れを大きく変えてしまった。

 田口麗斗、野村祐輔の投手戦で、5回まで両チーム無得点。6回に坂本勇人の中前タイムリーで1点を先制した巨人は、なおも2死二塁で、村田修一がレフト上空に高々と打ち上げた。

 完全に打ち取られた当たりで、打った村田も思わず天を仰いだほど。ところが、レフト・バティスタがグラブを頭上に掲げて捕球する動作を見せた直後、なんと、打球はその上を通過し、約5メートル後方にポトリ。薄暮の中で打球を見失ってしまったのだ。

「途中で見えなくなってしまった……」(バティスタ)

 本拠地のナイターで初めてレフトを守った日に、よりによって一番打球の見えにくい時間帯に村田の打球が飛んでこようとは、間が悪過ぎたとしか言いようがない。

 記録は二塁打となり、二塁から坂本が生還。巨人は貴重な2点目をゲットし、3対0で勝利した。結果的にバティスタの凡ミスが勝敗を分けたと言っても良いだろう。

 だが、緒方孝市監督は「1回のミスでどうのこうの言うつもりはないよ。経験してこれからどんどん成長していってくれればいい。守りだって、周りが見ているより下手じゃないからね。ナイターとかどんどん経験していかなければいけない」と太っ腹なコメント。

 上司の理解に恵まれたバティスタは、その後も重要な場面で起用されつづけ、9月18日の阪神戦(甲子園)では、チームのV2を決める勝ち越しタイムリー。まさに「損して得取れ」の典型のような結果となった。

 “あってはならないこと”は、試合中に限った話ではない。7月9日のロッテvsオリックス(京セラドーム大阪)では、試合前の練習中に事件が起きた。

 オリックスナインがグラウンドで練習をしていた午前9時40分ごろ、この日のゲームスポンサーの看板の設置作業中だった中堅5階席から看板の骨組み部分にあたる角型の長さ約2メートル、重さ約6キロの鉄パイプがガランガランという音とともに落下。一度バウンドした後、中堅フェンス下でトレーナーとストレッチの最中だった中島宏之の右耳から左腰にかけて当たった。

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思わぬ事態にスタンドは騒然