「新しいマーケティングでは、高く接続をしている非常に高度なAIのプログラムを導入し、顧客の属性や、どの顧客が(製品を)買う気であるのかということを分析するのが非常に重要な仕事になります」

 具体的な方法論については、前述の『マーケティング4.0』にすでに書かれているため講演では割愛されたが、その新しいスキルがこれからのマーケターには必要不可欠だとした。

しかし、膨大なデータを集めるには費用がかさむ。そのため、デジタル化の速度が遅くなる企業も出てくるだろう。しかし、コトラー氏は待ったなしだという。

「製造部門、市場の研究や調査などにデジタル化の波が押し寄せてくるでしょう。もし大企業のなかでデジタル化が遅れているようなら、私はその企業の株を売りたいと思います」

 そして、最後はこう締めくくった。「今、マーケティングを語る上で非常に重要な言葉は、価値を創造する仕事、洞察を得る仕事であるということです」。いかにして新しい価値を創造できるのか。そのためにはどうすればよいのか。指針を決めるのにマーケティングの思考が欠かせないのである。