彼女は、ポールダンサー「ポール牧野」に扮して、ポールを軸に踊りながら漫談を披露。ガリガリにやせ細った彼女のぎこちなくセクシーな動きとしゃべり方が、見る者を不思議な世界へといざなっていた。これをきっかけに一気にブレークする可能性もありそうだ。

 番組の平均視聴率は13.1%(関東地区。ビデオリサーチ調べ)だった。お笑いコンテスト番組の初回としてはまずまずの数字だ。大会後の注目ポイントは、優勝したゆりやんレトリィバァが「日テレ100%券」でこれからどんな番組に出ていくのか、ということ。そして、彼女を含む決勝メンバーの中から新しいスターが生まれるかどうか、ということだ。

 日本テレビは民放の中でも視聴率トップを独走していて、番組発のスターを作るノウハウもある。そんな日本テレビが手がけた『THE W』は、単なるコンテスト番組として面白いだけではなく、大会前の話題作りから大会後の展開まで、周到に計算された優れたプロジェクトだったのではないかと思う。(文・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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