1963年と1991年の医師国家試験合格率
1963年と1991年の医師国家試験合格率
1963年と1991年の医師国家試験合格率
1963年と1991年の医師国家試験合格率

 受験生の親が学生だったのは1990年前後が多いだろう。さらにその親、つまり、受験生の祖父母の学生時代といえば、1960年代前半といったところか。発売中の週刊朝日ムック「医学部に入る 2018」では、全国医学部の医師国家試験(国試)合格率とその内訳を一覧で一挙掲載しているので、合格率のデータを見るときの注意や近年の傾向などを3回にわたってお届けする。3回目の今回は、両親、祖父母時代の国試合格率を蔵出ししてみた。そこから医学部受験、医師養成のありようが見えてくる。

【医師国家試験合格率】私立大はこちら

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 祖父母世代の1963年、医学部に入れる人数は極めて限られていた。医学部定員は2840人。18歳人口が200万人だったので、704人に1人だ。この数字からはピンとこないので、親世代、いまの受験生世代と比べてみよう。ショッキングな数字が出てくる。

 親世代の91年の医学部定員は8280人。18歳人口は201万人なので、242人に1人が医学部に進む。 

 いまの受験生世代の医学部定員は9262人。同人口は119万人。128人に1人の計算だ。

 704人に1人→242人に1人→128人に1人。

 祖父母世代は医師になれる確率がとんでもなく低い。選りすぐりの秀才が医学部に集まり、63年の医師国家試験合格率に100%がズラリと並ぶのも納得できる。

 親世代の91年はどうか。この時代、国は医師を増やすという政策を掲げ、医学部がどんどん作られた、その結果、医学部定員数は60年の3倍近くなる。一方、国家試験合格率は祖父母世代に比べ落ち込んだ。90%いけばいいほうだ。なぜだろうか。

 親の世代は医学部定員が増えて、祖父母の世代ほど優秀でない人材が入ってきた。だからレベルが下がったのか。いや、そんなことはない。入試難易度では東京大の理系学部より、地方国立大学の医学部のほうが高くなることがあった。

 これは国家試験で求められる知識が、医学の進歩で膨大な量になったことによる。

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現在の受験生の難易度は?