GPファイナルでは惜しくも優勝を逃した宇野昌磨(写真:Getty images)
GPファイナルでは惜しくも優勝を逃した宇野昌磨(写真:Getty images)

「僕がやれることはやってきたので、これ以上、もうどうしようもない」

 2018年平昌五輪前哨戦となるグランプリ(GP)ファイナルを、地元名古屋で戦った宇野昌磨。優勝したネーサン・チェン(米国)に0.5点差で惜敗し、銀メダルを獲得した。2季続けての3位からひとつ順位を上げたが、ミスや勘違いなどいろいろな要素が重なり、はた目にはなんとも惜しい結果となった。

 しかし、宇野は「皆さんは残念という気持ちかもしれないですけど、僕は満足しているし、結果も今の僕の実力かなと思いました」と言う。フリーの演技直後に一番の課題として挙げた4回転トーループ、また跳んだジャンプ回数の勘違いから最後に予定していたトリプルサルコーからのコンビネーションを単発にしたことについても、表彰式と記者会見を終えた後には次のように語っている。

「(4回転トーループを)失敗したのは多分いろいろ理由があると思います。試合前(演技直前、前の滑走者の得点が出るまでの間)の跳ぶジャンプをトリプルアクセルじゃなくて、もう一回、4回転トーループを失敗でもいいから練習すればよかったという後悔はありますけれども、それはまた次に生かせばいいですし、トリプルサルコーのコンビネーションをつけなかったっていうのも、自分の頭が回らなかった、それだけ精いっぱいだった。すごく明確にできなかったことが分かっている。でも、もっとできたのに、とは思わないので、そこまでやれることはやった、だから次頑張ろう、という気持ちになっているんじゃないかなと思います」

 宇野の満足感と、犯したミスの両方に関わってくるのは、おそらく初戦のロンバルディア杯で成功させたものの、その後GPシリーズ2戦では封印していた4回転サルコーかと思われる。常に攻めたいという宇野は、ようやく試合で入れることができただけでなく加点のつく出来栄えで成功した4回転サルコーについての満足感が大きかったのではないだろうか。

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