「電通としては、電波通信行政に強いネットワークを持つ櫻井氏を近くに置いておけば、何かと都合がいい。事務次官退官直後に三井住友信託銀行の顧問に就任しましたが、これも天下り批判を避けるためのワンクッションだったのかと思わざるを得ません」(全国紙記者)

 さらに、電通には俊氏の息子で櫻井翔さんの弟にあたる修(しゅう)氏が在籍していることでも異例の人事と言われている。修氏は、兄と同じく慶応義塾高から慶応大学経済学部に進み、ラグビー部で活躍。今年4月に電通へ入社後、現在はラジオテレビ局に勤務する。

 電通関係者が明かす。

「電通では、親子が同じ時期に在籍することはできません。実際、電通マンとして働く父親の姿に憧れていた兄弟の兄は父が在籍中のために受験を諦め、定年後にようやく弟が入社したケースもあるぐらいです。修君の場合、父親が後から執行役員として来たので例外なのでしょうが、違和感を覚える人もいるのではないでしょうか」

 俊氏を招聘した理由や親子在籍のことを電通に尋ねると、「櫻井氏には、国内事業を中心として当社グループの内部統制全般を管掌していただきたいと考え、お願いをしました。なお社員の在籍の有無ついては回答していません」(広報部)とのことだった。(桐島瞬)