今年飛躍した小兵選手で忘れてはならないのが茂木栄五郎(楽天・171cm)だ。開幕から1番、ショートに定着すると本塁打を量産し5月には早くも二桁の10本に到達。6月に右ひじを痛めてオールスター出場は辞退したものの後半戦は復帰し、リーグ3位の高打率と17本塁打をマークした。17本塁打中8本が初球をとらえたものであり、積極的なバッティングと長打力が持ち味。スイングのバランスが良くきれいにヘッドが走るため、広角に鋭い打球を放つことができ、センターから左方向へも7本塁打を放っている。オフには右ひじのクリーニング手術を受けたが、1年間コンディションを維持することができればトリプルスリーも狙えるだけのポテンシャルを秘めている選手である。

 小兵で長打力がある選手では吉田正尚(オリックス・173cm)が筆頭となるだろう。過去2年間はともにシーズンの半分程度の出場数ながら連続で二桁本塁打をマークしている。そして何よりも吉田の凄さはそのフルスイングと打球の弾道である。打った瞬間にホームランと分かる打球が多く、呼び込んで鋭く腰を回転させてとらえるスタイルはメジャーの選手を彷彿とさせる。ただフルスイングしているだけでなく、ボールを長く見られるため確実性も低くなく、今年は規定打席未満ながら3割を超える高打率をマークした。吉田の課題はとにかくコンディショニングに尽きる。激しいフルスイングが腰に与える影響は大きく、過去2年間の離脱はいずれも腰の故障によるものであり、先月行われたアジアチャンピオンシップの日本代表も故障の影響で辞退している。このオフには完治を目指して手術を行った。シーズンを通じてのフルスイングが可能になった時は、ホームラン王の有力候補になることは間違いない。

 投手では高校時代からライバル関係にある田口麗斗巨人・171cm)と山岡泰輔(オリックス・172cm)がローテーション入りを果たして大活躍を見せたが、ともに強気に内角を突くピッチングが持ち味である。特に山岡は150kmを超えることも珍しくなく、完全な本格派と言えるピッチャーである。二人ともチームだけでなく、今後はリーグを代表する投手に成長する可能性は十分にあるだろう。

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