「極度の人見しりなんです」

「でも、二人だけなら喋れるんですよ。三人から駄目になっちゃうの。大人数だと、もう何していいかわからなくなって。頭ん中ガッシャーンて感じで。だから、みんなに話しかけてもらいたいんです。人見知りだけど、寂しがり屋だから」

 サバサバしているが、人見知りで寂しがり屋、でも女っぽくはしたくない。鳥居みゆきという人間を分析するにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 今回の絵本が好評ならば、次回作もあるのでは?との問いには

「いや、全然考えてないですよ」

 と断言した。

「でも、もし描くなら葉緑体の気孔とか、赤血球とかの話を書きたいなぁ。気孔くんてすごい、可愛いんですよ、クラクラしていて、こうパカッて開いていて、ぼよよ~んて動くようにしたいんです」

 いや、もうしっかり次の構想は決まっているではありませんか。乳歯を主人公にするという発想を持つ鳥居さんなら、葉緑体の気孔や赤血球の話もきっと、何か面白いものにしてくれること間違いなしだ。何はともあれ是非、『やねの上の乳歯ちゃん』を読んでみてはいかがでしょうか。

「乳歯の抜ける子どもから永久歯の抜けたお爺ちゃんまでみんなに読んでもらいたいです(笑)」

 とアピールする鳥居さんだが、実は本人はというと……。

「あの、私、自分の本まだ持ってないんですよ。変でしょ?だから、マネージャーさんに言ったら、パソコンにデータだけ送られてきたんですよ。本人が持っていないっておかしいでしょ」

 偶然にも記者には、下の前歯が抜けたばかりの6歳の娘、そしてまた偶然にも今年、前歯以外総入れ歯になった義母がいる。是非とも、まず二人にはこの本を読んでもらおうと思う。(新津勇樹)