得意技「ゴムぱっちん」のポーズを取るゆーとぴあ時代の城後さん(左)と、相方の帆足新一さん (c)朝日新聞社
得意技「ゴムぱっちん」のポーズを取るゆーとぴあ時代の城後さん(左)と、相方の帆足新一さん (c)朝日新聞社

 2017年も残すところ1ヵ月ほどとなったが、例年この時期になると忘年会がやたらと多くなる。

 一般的には少し早い印象もあるかもしれないが、芸能界やテレビ業界、メディア業界ではクリスマス前から年末、年始にかけては何かとイベントが多く、テレビの特番や週刊誌の年末合併号に向けての準備などもあり、いつも以上に忙しい時期となる。

 そのため、少し早めの忘年会となるわけだが、不況の波にあえいでいるエンタメ業界だけに、自然とグチが多くなる。

 テレビ局員や番組制作会社のスタッフ、放送作家などと会うと、給料や番組制作費、経費の削減といった金銭面のグチとともにその口からたびたび出てくるのが、テレビ局による自主規制の話題だ。
 
 日本テレビの「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 大晦日年越しスペシャル!」といえば、年末恒例の人気特番として知られており、今年の大みそかにも放送が予定されている。

 同番組について今年10月、一部夕刊紙が、お笑いコンビ「ダウンタウン」ら出演者への罰ゲームとして用いられる“ケツバット”について、イジメ助長につながるとして局内で自粛すべきとの意見が出ていると報じ、これに対して出演者の松本人志が「どえらいガセ」と否定した。

 松本本人が完全否定している以上、“ケツバット”禁止は「ガセ」であることに間違いはないのだろうが、その一方でテレビを取り巻く自主規制の波は着実に高まっているのが実情だ。

 昨今のバラティー番組などで過激な企画や演出が取り入れられにくくなっていることは広く知られているが、例えばお笑いコンビ「ゆーとぴあ」が編み出し、かつてはバラエティー番組などで定番の罰ゲームとなっていた「ゴムパッチン」も、子供がマネしてケガをしたら危ないなどの理由で、局によってはすでに規制の対象になっている。

 最近では「熱湯風呂」でさえギリギリの状況というから、何とも世知辛い世の中である。

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三杉武

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動している。週刊誌やスポーツ紙、ニュースサイト等で芸能ニュースや芸能事象の解説を行っているほか、スクープも手掛ける。「AKB48選抜総選挙」では“論客(=公式評論家)”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当。日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表も務める。

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テレビ局による自主規制の背景にあるものとは?