■減反廃止後も減反政策?

 17年産にいたる米価格上昇の理由はご理解いただけたと思うが、18年産はどうなるのだろうか。18年からは、減反政策が無くなる。つまり、国が主食用米の生産上限を都道府県に配分し、これを市町村、農家へと細分化してその実現を目指すということができなくなるはずである。そうなれば、いよいよコメの生産が増えて、価格が下がると期待したくなるだろう。

 しかし、冒頭の記事のように、18年産米も値上がりしそうだと、今から予測されている。

 なぜそうなるかというと、大きな理由は二つある。

 第一に、「減反」は止めるが、「自主的生産調整」という名のもとに事実上の減反政策、が続くのである。そのやり方はこうだ。

 まず、JA全中や全国農業協同組合連合会(JA全農)のほか、コメ卸や外食・中食の業界団体などが集まって、生産調整をするための新たな組織を立ち上げる。一方、農林水産省は、減反目標の代わりとなる「需給見通し」を発表して、この団体による生産調整に協力する。

 農水省の全国のコメの需給見通しに基づき、新組織が各県や地域ごとに最適とみられる生産量を試算し、農水省に代わって都道府県への生産目標を配分する。大半の県では、それをさらに市町村単位で配分し、さらに半分くらいの県では農家単位でも目安を示すという。何のことはない、基本的に減反と同じ効果を狙った民間主導カルテルに政府が協力するという図式になるのだ。

 ただし、この仕組みには強制力はない。また、減反に協力することへの報償となる補助金もなくなる。したがって、カルテル破りが横行する可能性があるのだが、なかなかそうなりそうもない。

 その理由が、第二の柱である飼料用米への高額補助金である。前述した通り、この制度の効果は絶大で、今や飼料用米の生産は年間50万トンにまで拡大している。北海道の年間コメ生産量55万トンに匹敵する量だ。政府は、飼料用米への補助金を年間1600億円に増やして110万トンにまで拡大する計画だという何が何でも減反と同じ効果を維持しようという常軌を逸した姿勢が見て取れる。

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