【バリー・ボンズvs上原浩治】

 2002年の日米野球では、この前年に待望のメジャー移籍を果たし、マリナーズでア・リーグMVPと新人王のダブル受賞という史上2人目の快挙を達成したイチローが、エクスポズ(現ナショナルズ)でこの年に13勝と活躍した大家友和とともにメジャー選抜として凱旋。さらに松井秀喜がこのシーズンを最後にメジャー移籍を表明していたため日本では最後のプレー機会ということもあって、彼らに注目が集まっていた。

 ただし、この年の名勝負として忘れてならないのは、前年にメジャー最多のシーズン73本塁打を放ち、この年も打率.370、46本塁打、110打点の大活躍だったバリー・ボンズと、巨人のエースとして最多勝、沢村賞、ベストナインなどを獲得して日本シリーズ制覇に大きく貢献した上原浩治の対決だ。

 初戦で実現した両者の対戦は、第1打席で上原が得意のフォークでボンズを空振り三振。2打席目も上原のフォークにボンズのバットが空を切って三振。さらに3打席目もまるでリプレーを見ているかのように上原のフォークにボンズは空振り三振。あのボンズを3打席連続で空振り三振に仕留めたことで、メジャーのスカウトたちからの上原の注目度が跳ね上がったのは言うまでもない。

 プロ入り当初からメジャー志向の強かった上原は、これ以降もポスティングシステムでのメジャー移籍を巨人に訴えたものの、これはなかなか実現せず。それでも2008年についにFA権を取得し、翌年にオリオールズで待望のメジャーデビューを果たしている。