――妃菜さんから「がまんしなくていいよ」「弱音を吐いていいんだよ」と声をかけたことは?

 私から言ったことはなかったです。もちろん、弱音を吐きたかったらいつでも言って、と思っていました。言わないということは、言いたくないということなのだろうと思って……。唯ちゃんがたびたび緊急入院するようになったときも、LINEは頻繁にしていました。入院していたことを後から聞いたこともあって。「昨日まで入院してたんだよね」「え、そうだったの!?」って感じでした。

――本当に強い方だったんですね。唯さんの映像を見ると、まったく闘病のつらさを感じさせない笑顔、ダンスで驚きます。

 私のお母さんも家で「本当に病気なのかな」と言っていたくらい。私も一緒にいて病気のことはすっかり忘れてしまうんです。そのくらい普通に接してくれたし、私も接することができました。ステージ上の唯ちゃんは本当にアイドル。歌詞を忘れたら歌が止まっちゃう子もいるんですけど、唯ちゃんは「ラララ」で歌ったり、自分で歌詞つくって続けたり、アドリブで対応する。だから、お客さんも気づかないんです。いつも「お客さんを楽しませるステージをつくりたい」と言っていました。その一方で私たちに対しても本番前にヘン顔をして笑わせて緊張をほぐしてくれたりして。唯ちゃんのおかげでみんな楽しくステージに立てました。

――唯さんの強さはどこから出てくると思いますか。

 元からの性格が強いんだと思います。私が唯ちゃんの立場だったら絶対泣いちゃうし、我慢できないと思うし。

――唯さんと「もっとこういうことがしたかった」ということはありますか。

「SUMMER!フラワー」のライブが2回しかできなかったので。もっとライブがしたかったです。周りの大人は「唯ちゃんが……もうそろそろかもしれない」と気づいていたみたいなんですけど、私は全然気づかなくて。治ると思っていたし、まさかあのライブ(15年6月)が最後になるなんてまったく思わなくて。最後に会ったときも、笑顔で「またね、バイバイ」って言って……。

 唯ちゃんは一緒にいるときはずっと笑っていました。車椅子でも行きたいところがあったら、「渋谷のあの店」と遠慮することなくどんどん言ってきて。「遠出するなら妃菜だな」なんて言ってくれたこともうれしくて、「(車椅子を)押すのがたいへん」なんて全然思わなかったです。沖縄旅行に行ったときも、「来年も行こうね」って……。もっといろんなところに行きたかったな。

(取材・構成/安楽由紀子)