インドネシアからの留学生と一緒に料理をする高校生。高校生たちはインドネシアの民族の多様性やイスラム教についても学んだ(香川県高松市) (c)朝日新聞社
インドネシアからの留学生と一緒に料理をする高校生。高校生たちはインドネシアの民族の多様性やイスラム教についても学んだ(香川県高松市) (c)朝日新聞社

毛受敏浩先生/日本国際交流センター執行理事。外国人定住政策の専門家。外国人が多く住む東京都新宿区で「多文化共生まちづくり会議」の会長を務める。近著『限界国家』(朝日新書)では、日本の人口減少とその対策について詳しく解説している(撮影/写真部・小原雄輝)
毛受敏浩先生/日本国際交流センター執行理事。外国人定住政策の専門家。外国人が多く住む東京都新宿区で「多文化共生まちづくり会議」の会長を務める。近著『限界国家』(朝日新書)では、日本の人口減少とその対策について詳しく解説している(撮影/写真部・小原雄輝)

 人口減少もあり、働き手としての外国人移住者が急増している日本。外国人と一緒に暮らすことで、困ることてあるのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』のキャラクター、コビンが、日本国際交流センター執行理事・毛受敏浩さんに話を聞いた。

■トラブルは減らせる

コビン:コンビニのレジで、外国の人が働いてるの、見たことあるよ。でも、「外国人が増えると、犯罪が増えて心配だ」と言う人もいるでしょ?

毛受敏浩(以下、毛受):データによると、外国人が増えても検挙数は減っているよ。2005年と比べて、15年は7割以上減少しているんだ。

コビン:外国人がゴミ出しのルールを守らないとか、困ることはないの?

毛受:それは、初めにきちんと説明すればいいことだね。国によって暮らし方や文化がちがうのは当然のことだ。だから、生活のルールやマナーなどを、映像や図で見せて説明すれば、トラブルはなくなるはずだ。

コビン:外国人が増えると、日本人の仕事がなくなるってことはないの?

毛受:日本は今、深刻な人手不足だ。日本の若者があまり働きたがらない農業や建設業、介護などの職場で外国人が働いているから、やっと社会が回っているのが現実だよ。

■日本人が仕事を失わないようにする方法はある

毛受:それに日本人の仕事を奪わないようにする方法はあるんだよ。

コビン:どんな方法なの?

毛受:韓国では、企業が人を募集するときに、まず自分の国の人を募集する。それでも集まらないときに、外国人の募集をするという方法をとっているよ。

コビン:そうか。それなら、日本人の仕事がなくなる心配はないね。

毛受:外国人が働くようになると、「日本人の給料が下がる」と心配する人もいるけれど、それも間違った見方だよ。受け入れる人数をきちんと決めて、賃金が下がるほどの人数を受け入れなければいいんだよ。

コビン:えっ、そうなの?

毛受:日本には定住する外国人を受け入れる制度がない。それが問題なんだ。

コビン:じゃ、どうすればいいの?

毛受:一般的な労働者でも条件をつけて、正式に受け入れたほうがいいと私は考えている。たとえば、日本語のレベルや学歴、職業経験のある人を受け入れると、決めることはできるんだ。それで来てくれる人には、日本人と同じ条件で働いてもらえばいい。

コビン:それなら、いいね。

毛受:留学生に話を聞くと意欲が高くて、「自分の会社をつくりたい」という人が多い。だから、外国人が新しい仕事をつくってくれるかもしれない。それに、日本の若者たちが刺激を受けるのもいいことだね。アメリカでは移民たちがIT産業をリードしているし、日本でもソフトバンクの孫正義氏は韓国系の人なんだよ。

コビン:へえ、知らなかった!

毛受:だから、子どもたちには、日本に住む外国人と仲よくなることをもっと考えてほしいな。

コビン:それって、楽しそうだね。

【日本に住む外国人と仲よくなる方法】
(1)相手の国の言葉や文化に関心を持とう!
(2)外国人の友達に自分から話しかけてみよう!
(3)日本の習慣や文化を教えてあげよう!
(4)いろいろな国の言葉や文化・習慣に興味を持とう!
(5)一緒に遊んだりスポーツをしたりしよう!

※月刊ジュニアエラ 2017年11月号より

ジュニアエラ 2017年 11 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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