最も価値がある職業は何か。それは人を楽しませたり、いい気分にさせたりする仕事だと、映画を見終えた私は考えた。それができないとしたら、楽しめる世の中を支える「社会派」として生きるしかないのではないか。そんな思いが新聞記者という現在の仕事につながっている。

 実を言えば「サリヴァンの旅」は少々説教臭く、あまり好きな作品ではない。なのに時々思い出す、不思議な映画だ。

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 笑いと社会派を対比させたこの作品を久しぶりに思い出し、パンフレットに載っている脚本を読み返したのは、お笑い芸人の村本大輔さん(ウーマンラッシュアワー)がMCをする社会派のネットテレビ番組に27日に出演することになったからだ。

 SMAPの元メンバーによる「72時間ホンネテレビ」が話題になったAbemaTVの「Abema Prime」(午後9~11時放送)。村本さんは、私のコラムが9月に朝日新聞デジタルから朝日新聞出版のサイト「アエラドット」に移った後、ある回をツイッターで紹介してくれたこともある。

 笑顔の延長線上で巡り合った貴重な機会である。がんになって以降、この時間帯に表にいること自体が初めてだが、体調を崩さずに最後まで楽しみたい。

 よければご覧ください。

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野上祐

野上祐

野上祐(のがみ・ゆう)/1972年生まれ。96年に朝日新聞に入り、仙台支局、沼津支局、名古屋社会部を経て政治部に。福島総局で次長(デスク)として働いていた2016年1月、がんの疑いを指摘され、翌月手術。現在は闘病中

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