入団会見で巨人のユニホームに袖を通した山口(左)と森福(右)。中央は高橋監督(c)朝日新聞社
入団会見で巨人のユニホームに袖を通した山口(左)と森福(右)。中央は高橋監督(c)朝日新聞社

 ストーブリーグ真っ只中のプロ野球界。FA、トレード、トライアウト組など、選手たちは来季の飛躍、巻き返しを目指し、そして各球団は戦力充実を狙って食指を動かしている。新戦力には否応なく期待感が高まるが、では1年前はどうだったのか。昨オフから今季シーズン中の移籍組の働きぶりから、その成否を判断したい。

 昨オフ、話題の中心は巨人の大型補強だった。球界史上初の「トリプルFA補強」を敢行し、山口俊(DeNA→巨人)、森福允彦(ソフトバンク→巨人)、陽岱鋼(日本ハム→巨人)の3人を獲得した。だが、陽岱鋼はキャンプ中の故障で出遅れて後半戦になってから1番に定着したが、打率.264、9本塁打、33打点と推定年俸3億円にしてはかなり物足りない成績。森福は開幕から背信投球が続いて2軍落ちし、最終的に30試合で1勝3敗6ホールド、防御率3.05。山口俊は右肩違和感で出遅れた上に泥酔暴行騒動を起こし、登板4試合で1勝1敗、防御率6.43と“失敗”。さらにトレードで加入した吉川光夫(日本ハム→巨人)が12試合で1勝3敗、防御率5.87と、軒並み期待外れに終わった。24歳の石川慎吾(日本ハム→巨人)が、99試合に出場して打率.242、5本塁打、20打点とキャリアハイの成績を残し、明るいキャラクターでも人気を集めたが、23歳の柿澤貴裕(楽天→巨人)の判断は先送りとして、巨人の移籍組1年目の成否は「1勝1分け4敗」と言えるだろう。

 他球団に目を移すと、生まれ故郷の仙台に戻った岸孝之(西武→楽天)は26試合で8勝10敗、防御率2.76。7月下旬から12試合勝ち星に恵まれずに自身3年ぶりの2ケタ勝利は逃したが、CSで古巣・西武相手に好投。若い投手陣のお手本となって精神的支柱としての役割も果たした。糸井嘉男(オリックス阪神)は、7月に右脇腹痛などで離脱したこともあって、打率.290、17本塁打、62打点、21盗塁と前年から数字を落とす結果(本塁打数は昨季と同じ)となったが、主軸として打線を引っ張った。このFA組の2人は、チーム順位が前年よりもアップしたことが好印象で“成功”と言える。もし、チーム成績が振るわなければ評価も変わっていただろうが…。

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