だが、見返りとなるはずだった南大隅町での採石事業はまったく前に進まない。鶴保議員への陳情は「たらい回しにされるばかりだった」(A氏)という。

 12月8日には、鶴保議員の紹介で南大隅町を選挙区に持つ自民党の国対委員長の森山裕衆院議員(鹿児島4区)にも面会。森山事務所に取材すると、A氏の陳情は断ったという。

「採石場のある場所はかなり山奥の深いところにあり、近くに港もない。そこから石を出すなんて夢みたいな話だと説明した。地元の事情をあまり知らない人かと思いましたが、その後は一度も連絡はありません」

 それでもなぜ、A氏は後援会長に金を渡し続けたのか。

「私はこれまでまったく政治家への陳情をやったことがなかった。こういうもんなのかなという思いと、事業をやっている以上は引き返せないという思いもあった。それに鶴保議員は大臣なので他の議員とは格が違うと思っていました」

 後援会長の要求は、さらにエスカレートした。

 A氏は、17年1月から7月まで後援会長に毎月80万円を要求され、「顧問料」として支払ったと主張している。さらにトヨタ・クラウンも無償提供している。

 A氏は、B社と協力して選挙費用、後援会長への顧問料などは「総額で2千万円以上になる」と証言している。

 後援会長は《参議院議員鶴保庸介後援会 関西千年会 会長》という肩書の名刺をいつも配っていたが、《関西千年会》は政治団体として登録はされていなかった。

 今年7月頃から一部メディアが辺野古新基地工事に関する鶴保議員の疑惑を調査。A氏らと一緒に名前が浮上していることを知った後援会長が「鹿児島の事務所をたたんでくれ」と要請。しかし、A氏は拒否したという。

「私が後援会長に資金を提供したのは確かですが、私は(後援会長や鶴保議員から)何の見返りも得ていません。後援会長からは『(金銭授受については)証拠がないから表には出ないよ』とも言われていましたが、私は何もやましいことをしていません。だから、こうやってすべてを話せるんです」

 その後、後援会長との関係は切れたという。

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