「『鶴保先生クラスになると、相場はこれくらいだ』と言われた」(A氏)

 後援会長の要求はこれだけではなかった。

 同年4月には六本木の料理店や高級クラブのVIPルームで鶴保議員らと一緒に接待。A氏は「鶴保先生は英語の歌をカラオケで歌ってとても楽しそうだった」。もちろん、飲食費はすべてA氏とB社の負担だった。

■鶴保議員が大臣時代、ガールズバーなどで接待 携帯メールも受け取る

 A氏の証言からは、次々と疑惑が浮かび上がる。

 同年7月の参院選では、4選を目指す鶴保議員を応援するために一軒家を借り上げ、泊まり込みで選挙を手伝った。スタッフの人件費や食費などはA氏とB社の負担で、その費用は総額で数百万円かかったという。

 政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之教授は言う。

「選挙運動では、ウグイス嬢など以外はボランティアでやることが基本です。企業から支援を受けた後援会が、運動員や選挙区内の有権者の飲食費を負担すれば、いずれも買収をしたことになり、公職選挙法違反となります」

 A氏らの支援を受けた鶴保議員は、無事に4選をはたす。そこでA氏は、当選後に鶴保議員にお祝いのメールと一緒に〈今後とも宜しくお願い致します〉と送信。すると5分後に鶴保氏から〈ありがとうございます!わかってます。今度は鹿児島で、かな。〉と、返信があった。

 鶴保議員が沖縄北方相に就任した1週間後の同年8月10日、A氏は内閣府の大臣室を訪れ、一緒に写真撮影を行っている。A氏はこう振り返る。

「私たちは一般人ですからね。現職大臣と大臣室で会えるなんて、後援会長はすごいと思った」

 鶴保議員とA氏の関係はさらに深まり、大臣室で計7回の面会を重ねた。同年10月中旬には、後援会長と一緒に鶴保議員を六本木のガールズバーで接待したという。

 現職大臣が、公共事業への参入を狙う事業者から接待を受けることは大臣規範に抵触する可能性がある。

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