(4)集落が消える

 地方では消える寸前の集落がある。福島県境近くに位置する宮城県七ケ宿町稲子は、1960年に人口127人だったが、2016年には3世帯4人に減ってしまった。最年少は70代で、高齢化率100%だ。ここに暮らす住民は、11年から冬になると町の中心部の高齢者生活福祉センターにある施設などに入ることになった。町が冬の除雪作業を続けられなくなったからだ。

(5)IT(※)産業も人手不足に

 1995年に約8700万人いた現役世代(15~64歳)は、2015年には約7700万人と約1割も減った。そのため、建設業、介護サービス、接客・外食業などでは、すでに人手不足が深刻だ。今後はすべての産業で労働力が不足することが予想され、日本の重要な産業として期待されているIT産業でも必要な人が集まらなくなる恐れがある。

(※)ITとは、英語の Information Technologyの頭文字。情報に関する、特にコンピューターなどの技術のこと。通信を含めて情報通信技術(ICT)という言葉も使われる。

(6)鉄道やバス路線がなくなる

 鉄道やバス路線の経営は、主に乗る人が払う料金で成り立っている。しかし、地方では人口減少や自家用車の普及のため、鉄道やバス路線が消えていっている。2016年にJR北海道は、全路線の約半分の10路線13区間を単独では維持困難と公表した。地元では住民の交通手段を確保しなければと対策に頭を悩ませている。

(7)農業が衰退する

 農業の仕事をする人は、1970年代には1千万人以上いた。ところが、2000年には400万人を切り、16年には200万人を下回ってしまった。若い人たちが農業の仕事を選ばなくなり、高齢化が進んだからだ。規模を大きくして機械で効率よく農業をする方法も進められているが、おいしくて質のよい農作物をつくるには人の手が欠かせない。

(8)伝統文化が消える

 古くから伝わる祭りが各地で危機的な状況だ。愛知県奥三河地方には700年以上前から伝わる「花祭」という祭りがある。五穀豊穣、無病息災を祈りながら夜通し踊り続けるユニークな祭りで、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。東栄町と豊根村、設楽町で行われているが、担い手が少なくなり途絶えた地域もある。

※月刊ジュニアエラ 2017年11月号より

ジュニアエラ 2017年 11 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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