「胸部X線写真を撮れば見つかることも多いのですが、前方のみの撮影では心臓に隠れて発見されないことがあり、側方からの撮影が大切です。胸部CTを撮れば確実に診断できます。瘤の場合は、すぐに治療をすべきなのかきちんと説明を受けて、治療しない場合も経過観察により破裂を防ぐことが重要です。激しい痛みが出た場合は、破裂や解離が起こっている可能性が高いですから、一刻も早く救急車で専門の病院へ行ってください」(同)

■予防 高血圧の人は要注意 動脈硬化の予防に努める

 発症する人の7割は高血圧です。血圧が高いことが血管にストレスをかけ続けるためです。

 動脈硬化の原因となる生活習慣病を防ぐことも大切です。もしすでに持病のある人は、定期的にかかりつけ医などを受診して管理してもらうべきでしょう。

 大動脈瘤のできた人は、また別の箇所に再度できることも多いため、2次予防としても、高血圧や糖尿病など、危険因子の管理がさらに重要になります。

「高血圧などのリスクを持っている人は、50代以上になったら、からだを追い込むような激しい運動は避けたほうがよいです。ゴルフスイング、水泳、ダンスのほか、からだをひねったり、力を入れたりするあらゆる運動で大動脈解離は起きています。季節では冬(11~3月)に多く発症します」(同)

■内科治療 降圧剤の服用とカテーテル治療

 大動脈瘤・解離の内科治療には薬物療法、カテーテル治療があります。大動脈瘤は、瘤が小さければ、降圧剤で血圧を下げていきます。収縮期の血圧を120~100mmHg くらいにして、カルシウム拮抗薬やβ遮断薬といった薬を点滴で入れて脈拍を60~70/分に保ちます。そして定期的に瘤の状態を観察するようにします。薬物療法は根本的な治療とはならないため、経過観察で瘤が大きくなっているとわかった時には、カテーテル治療を検討します。

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