本来はここに登録された情報を国が分析し、新制度のさらなる充実に活用したり、施設を選ぶ親に最新の情報を公表したり、自治体が国への補助金申請等の事務を効率的に行えるようにするはずでした。しかし、データが表計算ソフトに対応していないPDF形式であったり、都道府県が紙での交付申請を求めるなどの実態があり、自治体の事務は効率化されていないそうです。

■ICT化の遅れで企業も園も手間

 ICT化が進んでいないことによる負担は、親の勤め先や保育園にも及びます。保育が必要だということを示す親の勤務証明書について0歳児だけを考えてみても、今年4月の時点で保育園に在籍する0歳児が15万人なので、単純に夫婦2人分として30万枚近くの証明書発行業務が企業に生じたことになります。

 保育園においても、子どものお昼寝中に連絡帳を手書きしたり、おたよりをつくったり、写真販売で親から渡された代金を確認したりと事務作業が結構あります。親との連絡や写真の販売などは、ICTの活用で効率化が可能になりつつありますが、欠席や遅刻は電話対応で、あまり進んでいません。

 園と行政との間でも、効率化の余地があります。新制度では、市町村が給付対象施設を監査しますが、保育所を認可するのは都道府県であり、保育所から見ると両者がチェックに訪れることになり対応業務が増えました。また、広域で保育所を展開する事業者からは、自治体ごとに監査で求められる書類が異なり、紙での提出を求められることに不満の声も聞きます。

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