菅:政権は北朝鮮に圧力をかけて政策を変えて行きたい。それが基本的な考え方だ。それと同時に、ありとあらゆる可能性に備えて、国民の皆さんの命と平和を守る、確保するというのが政権の責務だ。

望月:状況によっては、限定的な攻撃ということも各国との協議の中で考えうるという理解で良いのか。

菅:我が国の立場は今私が申しあげたとおりである。

望月:アメリカの議会調査局が最近、朝鮮戦争有事の際に核攻撃なしでも最大30万人が死亡すると予測した報告書をまとめている。朝鮮戦争が起きた時に日本の市民がどれくらい巻き添えになるか、邦人退避はどれくらいの規模でやるのかなど、たぶん、試算されていると想定するが、これを国民に対して、国会の場などで公表するつもりはあるのか。

菅:米国のことに政府の立場でコメントすることは控えたい。

 いずれにしても、仮定については(仮定の質問については)、コメントは控える。

望月:米国議会のことはともかく、日本について、試算をしていると思うが、どれくらいの被害が出て、どのような退避・避難計画とすべきかということを政府として公表するのか。

菅:国民の安全安心確保は政府の最大の責務。そういう立場にしっかり対応します。仮定のことにはコメントを控える。

 望月記者はさすがだ。全体わずか11分で終わった会見の中で、合計4問も聞いている。しかし、菅長官は最後まで、「何があっても答えない」という態度に終始した。

 これほど緊迫した状況でも、一切情報を国民に提供しない政府。しかし、よく考えると、菅長官は「先制攻撃」を否定していない。また、「被害シミュレーション」についても存在しないとは言っていない。つまり、先制攻撃の可能性を認め、シミュレーションの存在も認めているのと同じだととることもできる。

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