ここで注目すべきなのは、北朝鮮を攻撃する場合、空爆や斬首作戦などではなく、地上侵攻をしなければ、北朝鮮の核兵器を全て把握することはできないと国防総省が考えているということだ。仮に本格的地上戦になれば、戦闘期間も長期化し、米韓軍(日本が参戦すれば自衛隊も)に大変な被害が生じることを覚悟しなければならない。もちろん、民間人の被害も同様だ。

 仮に朝鮮半島で本格的な戦争になった場合の被害想定については、10月27日に発表された米議会調査局(Congressional Research Service)の報告書が、次のように述べている。

「たとえ北朝鮮が通常兵器しか使わなかったとしても……戦争開始から数日で、3万人から30万人が死亡すると推計される。」

 また、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院の北朝鮮監視プロジェクト「38ノース」のレポートによれば、北朝鮮が東京とソウルを核攻撃した場合、その攻撃の規模にもよるが、犠牲者の数は40~200万人、攻撃が最大の効果を発揮した場合、その数は、130~380万人に増える可能性があると分析している。(NEWSWEEK 日本版10月6日より)

 もちろん、こうした分析よりはるかに精緻な分析が米国国防総省などによって実施されていることは確実だ。日本政府も、そうした情報をもとに独自の試算を行っているだろう。

 そこでは、「100万人だから大変だ、それを1万人に抑えるにはどうしたらよいか」などというとんでもない議論が行われている可能性がある。

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