3失点目は、ようやく高い位置でチャンスを作って久保裕也がカットインしたところでシュート寸前に潰され、そこから一度しのいだものの、セカンドボールをブラジルにうまくつながれた形で喫したものだった。久保はそのシーンを反省したが、プレーの選択ついては「あそこで行かないんだったら僕が出る意味がないし、行ってシュートを打って終わった方がよかったと思います」と主張する。前半で最も積極的だったシーンが試合を決定付ける失点につながったことは皮肉だが、そうしたシーンをもっと作れなかったことの方が問題だろう。

 早い時間帯の2失点が試合結果に大きく響いたのは間違いないが、ボールをつなぐ正確性、そのためのポジションの取り方など、速攻を狙うチームにあっても、起点を作るためのクオリティーを欠いていると言わざるをえない。

 1度ブラジルと対戦したことで、ベルギー戦ではメンタル面でより消極的にならずに攻守両面で戦うことはできるだろう。ただ、ベルギーはブラジルほどボールのつなぎや守備のポジショニングにうまさがない代わりに、運動量やコンタクトプレーではブラジルにない特長がある。

 結局、ベルギー戦でもボールを取り切れないシーンや、パスのズレが生じてしまうのか。それとも、劣勢になることなく試合を進めることができるのか。戦術面はもちろんのこと、人選も大きなポイントになるだろう。本大会に向け、本当の課題が明確になっていくはずだ。(文・河治良幸)