日本の守備陣を揺さぶるブラジル代表・ネイマール(写真・getty images)
日本の守備陣を揺さぶるブラジル代表・ネイマール(写真・getty images)

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表はフランス北部リールの地でブラジル相手に前半で3失点を喫し、後半にセットプレーから槙野智章によるゴールで一矢報いたものの、1-3というスコア以上の差を見せ付けられて敗れた。

 後半の勇気を持った高い位置での守備と、そこから何度か大きなチャンスに結び付けた攻撃への手応えを強調する指揮官も、公式戦であれば前半に3点差をつけられた時点でほぼゲームオーバーであることは百も承知だろう。

 この試合で採用されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)により早々にPKの判定を受けた日本は前半10分に失点。さらに再びPKを取られた場面では、GK川島永嗣がネイマールのシュートは阻止したものの、直後のCKから井手口陽介のクリアが小さくなり、マルセロに豪快なミドルシュートを叩き込まれて17分に2点目を奪われた。

 そこからチームがパニックに陥り、攻守で消極的になったという世間的な見方もあるが、前半のプレーを検証すると、実は日本のプレーはそれほど変化しているわけではないことが分かる。

 守備は基本的に4-2-1-3の形を取り、井手口がカゼミロ、山口蛍と長谷部誠がフェルナンジーニョとジュリアーノをチェックする。だが、ブラジルが深い位置を取って組み立ててくる場合には、大迫勇也がCBを深追いせずにアンカーのカゼミロをチェックし、中盤の3枚がその背後でブロック気味に構えるという守り方はチームの約束事だろう。

 ボールホルダーに対する1つ1つの距離の取り方が立ち上がりより慎重になった部分はあるが、基本的な守備ライン設定が2失点後に低くなって消極的になったわけではない。何度か中途半端なボールロストからのカウンターや、プレスを外されたところから攻め込まれ、セカンドボールやリスタートを起点にブラジルに攻勢をかけられる時間帯が続いたことで、引いた位置で守っているような印象を与えたに過ぎない。

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