うつ経験で学んだ“ドタキャンする勇気” 元自衛隊メンタル教官が告白 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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うつ経験で学んだ“ドタキャンする勇気” 元自衛隊メンタル教官が告白

向山奈央子dot.#仕事#朝日新聞出版の本#読書
別人化(うつの症状変化) 『人間関係の疲れをとる技術』より

別人化(うつの症状変化) 『人間関係の疲れをとる技術』より

 すると、疲れを感じないままエネルギーを消耗している状態が続き、その間にさらに疲労が蓄積してしまう。そうしているうちに、疲労がある段階に達し、脳に「これ以上動くな」という指令が下る。すると、本来の能力や意欲もパタッと“停止”してしまうのです。

 これが、「自分だけは大丈夫」と思っている人ほど、突然折れてしまう理由です。

●働き盛りに必要なのは“ドタキャンする勇気”

 かくいう私も、これだけの知識を持ちながら、うつ状態に陥ってしまった経験があります。

 ちょうど40歳のころでした。アメリカで同時多発テロがあり、レスキュー隊員の心のケアが注目され、これまで培ってきたカウンセラーとしての経験と知識が、今こそ自衛隊で求められる!と意気揚々としていた時期です。

 全国の自衛隊施設を飛び回る日々。ある日、自衛隊員1000人を相手に、まさにメンタルヘルスの重要性を説く講習会がありました。

 その前日に、突然吐き気に襲われたのです。

 心身のなんともいえない重たい感じ。「おかしい。風邪の体調不良ではない」という直感がありました。たびたび「ふー」という大きなため息をつき、意味不明の切迫感もありました。

 ふと振り返ると、自分が全く休んでいないことにも気づいたのです。

「もしかしたら、僕はうつになったかもしれない」。当時チームを組んでいた精神科医の先生に言うと、その先生も「まさか」とびっくり。けれども診察してもらうと、結果は「うつ病」でした。

 悩みましたが、その講演をキャンセル。同僚がピンチヒッターとなってくれました。急に振られた同僚も本当に驚いたと思いますが、「大丈夫、俺がやる」と引き受けてくれたのです。ありがたかったです。私の人生で、一番大きな“ドタキャン”です。

 その日から1カ月休職し、その後、職場復帰しました。なかなか本調子には戻れず、“完全復活”を実感できるまでには約1年を要しました。


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