認知症の人は何もできない──なんて思っていませんか。症状や進行具合にもよりますが、自分でできることはたくさんあるのです。日々の暮らしを支えるのが、失敗から考えた工夫と、パソコンや携帯電話などのIT機器。週刊朝日MOOK「家族で読む予防と備え すべてがわかる認知症2017」では、51歳でアルツハイマー型認知症と診断され、現在、ケアハウスで暮らす佐藤雅彦さん(63歳)に、困りごとの解決法を聞きました。

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「認知症になっても、何もできなくなるわけではありません」

 こう話す佐藤雅彦さんは、51歳で診断を受け、その後も約10年間、マンションで一人暮らしを続けました。しかし、自由な生活を楽しむ一方、困りごともでてきました。例えば、今日したことを覚えていない、明日の予定がわからない、お金の管理ができない――。そんな時に助けになったのが、携帯電話などのIT機器だといいます。

「写真を撮って記録したり、スケジュール管理をしたり、エクセルソフトでお金の計算をしたり。おかげでできないことが、できることに変わりました」(佐藤さん)

 電車の乗り換えを調べるアプリなどを使い、外出もおっくうでなくなったそうです。

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