日本の国家財政はこれから急速に悪化していきわれわれ国民に牙をむき出しにしてくるだろう。大企業にいてもいつかは放り出され、社会保障のプロテクションも脆弱になるわけだ。となるとわれわれの人生では「起業家になること」がどこかの時点で義務付けられているのだ。会社に通っている限り給料が振り込まれるという時代はいずれどこかで終わるのだ。

 自分で仕事を作り出していく起業家精神がこれからは当たり前に国民全員に必要になってくる。最悪なのは、一見組織内で勝ち組に見える、組織に長期にわたって雇用され続け、給料は毎月自動的に振り込まれるのが当たり前と身体に染みついている人たちが、年老いて突然放り出され、自分で食べていかなくてはならなくなった時だ。「社会で仕事を作り出す」トレーニングを全く受けていない不幸な人たちだ。これは確実にこれからたくさん起こってくる。

 だから比較的若いうちから外に飛び出して自分で仕事を創っていく訓練をしておくことは「アホから逃げる」ためだけではなく、とても重要なことである。力のあるアホに囲まれたら、“とにかく飛び出せ”といっているのではなく、いざという時のために準備しておけということだ。そういう準備をしている迫力は背中からアホに伝わっていき、アホの行動に変化を与えるかもしれない。

 モビリティを持つ準備もせずに、会社に飼われ続けるためにアホと付き合うストレスを辛抱し続け、身体や心も病んで、いずれガッツも失い、社外での評価も確立できずに、いつか放り出されるのを待つのが人生の全体戦略として最適なのだろうか? モビリティを持つことは「アホから逃げて」人生の最高最大の資産である時間を大事にすることにも効果的だが、もっと言えば自分の人生を最も幸せにするオプションを持つことでもあるのだ。