文部科学省は26日、問題行動調査の結果を発表。年間30日以上欠席した小中学生は13万4398人で、子どもにおける不登校の割合は2年連続で過去最多を更新した。毎年この時期に報道される不登校調査について不登校新聞の編集長・石井志昂さんは「全体の数ばかりで全然不登校につて理解が深まらない」と疑問を持っている。だれも教えてくれなかった“不登校のふつう”について解説する。

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 今年も不登校調査の結果が発表されました。毎年「増えた」とか「減った」とか全体の数ばかりが報道され、ちっとも不登校に関する疑問が解説されません。そこで、私が受けてきた質問のなかから特に多かった疑問について、不登校のQ&Aを作成したので紹介します。意外と近くにいる不登校と経験者のことを、より深く知るきっかけになればと思っています。

■Q:不登校って増えているの?

 小中学生では70人に1人、中学生だけだとクラスに1人程度が不登校です。

 この数年、不登校は増えていますが、長期的に見れば20年間、12万人前後を推移しています。この2年間、発生率は過去最多を更新しましたが「増加の一途をたどっている」とは言えません(文科省調査)。

 しかし、「不登校が増えている感覚」を持つ人に多く出会うようになってきました。そういう人の話をよく聞いてみると「いじめのニュースをよく聞く」ことと、「身近に不登校を感じる機会が多くなった」ことがその感覚の由来でした。

 内閣府の調査では、15歳から40歳未満のうち「不登校経験者」だと答えた人は5.4%もいました。「5.4%」というと、全国の「鈴木さん」「高橋さん」「斉藤さん」を足した割合ぐらいあります。

 不登校は増加し続けているわけではありませんが、「あの人もそうだったんだ」と実感するケースは増えてきたのではないでしょうか。

■Q:そもそもなんで不登校になるの?

 不登校のきっかけとして、いじめを含む「友人関係」を挙げた人は半分以上います(54%/複数回答可)。ただし注目すべき点は、回答者1人あたりにつき、3つ程度の項目を「きっかけ」として選んでいたことです。

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