また、職場や仕事に関係することばかりでなく、家庭や近所、プライベートでの疲労も、十分に意識する必要があります。

 例えば「ライフイベント」のストレスを考えてみましょう。身内の死、離婚、ケガや病気などの、大きなネガティブな出来事のあと、心も体も疲れてしまうのはイメージがつきやすいと思います。

 でも実は、結婚や家族の増加、昇進など、一般的にポジティブなライフイベントも疲労の度合いは意外に高いのです。人間は新しいことには、たとえプラスの出来事であっても、思っている以上にエネルギーを消耗するのです。

 そして疲労はたまりすぎると、麻痺して感知しにくくなるという特性があります。「自分は体力だけには自信がある」、という自衛隊員によくいるようなタイプの人ほど、意識して適切に対処する必要があるのです。

 上手に疲労をケアするポイントは、良質な睡眠、食事、休息、静かなストレス発散、などです。

 疲れているときは、飲み会や旅行など、発散系のアクティブな行動で疲労を回復しようとしてはいけません。一瞬、気持ちが晴れたつもりになっても、エネルギーをさらに消費して、逆に疲れが深まってしまいます。

 一番大事なのは、睡眠をしっかりとって、心と体を静かに休めることです。中高年ほど、「静的な疲労回復法」を心がけてください。自分自身の疲労のケアをするだけで、人間関係の問題が軽減したり、苦しみが減ったりすることが多いことを覚えておいてください。(構成・文/向山奈央子)