80年代から90年代にかけて黄金時代を築いた西武は、セの各チームと名勝負を繰り広げた。最大のライバルと言われた巨人とは、83年に二転三転の大激戦を展開した。第5戦までに2勝を挙げた巨人の西本聖が、リリーフで登場した第7戦にテリーの決勝打で沈んだ姿は、同シリーズで2敗と不振だった江川卓も含めて、印象に残る。さらに、西武の4勝2敗に終わった87年、第6戦の辻発彦の好走塁は、まさに「盟主交代」を印象付けたプレーだった。

 92、93年は西武・森祇晶監督とヤクルト・野村克也監督の捕手出身の名将対決が繰り広げられた。ヤクルトの杉浦亨の代打満塁サヨナラ本塁打で始まった92年は、7試合中、4試合で延長戦となった激戦を制した西武が4勝3敗で勝利し、翌93年は川崎憲次郎と高津臣吾の奮投でヤクルトが西武の4連覇を阻止した。2000年代に入ると、巧みなドラフト戦略で豪華布陣を擁した福岡ダイエーの時代が来た。00年の長嶋茂雄、王貞治両監督による「ON対決」では巨人に敗れたが、03年の阪神との対戦は、ホームゲームのチームがすべて勝利する「内弁慶シリーズ」となり、福岡ドームで4勝をあげた福岡ダイエーが日本一となった。

 近年の日本シリーズで、強烈な印象を残したのが、13年の東北楽天と巨人の日本シリーズだ。球団創設9年目で悲願の初優勝を果たした楽天が、初の日本一に輝いた。この年、シーズンで21勝無敗と活躍し、翌年からメジャーリーグに移籍した田中将大が、第6戦で160球を投げるもこのシーズン初黒星を喫した後の第7戦で3点リードの9回に登板し、日本最後の登板で胴上げ投手となった。2年前に起こった東日本大震災の被災者に勇気を与える日本シリーズ制覇となった。

 果たして、今年の日本シリーズでは、どんなドラマが生まれるのだろうか。