補強ポイントにも合致する地元のスター候補、履正社・安田 (c)朝日新聞社
補強ポイントにも合致する地元のスター候補、履正社・安田 (c)朝日新聞社

 きょう26日にいよいよプロ野球新人選択会議(ドラフト)が開催される。今年は早稲田実業の清宮幸太郎や広陵の中村奨成をはじめ、高校生の逸材が光る。各球団はどのような思惑でドラフト会議に臨むのか、探ってみよう。今回は今季パ・リーグ4位に低迷したオリックス・バファローズだ。

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 昨季のドラフト、大成功を収めたチームのひとつがオリックスだ。

 1位の山岡泰輔はローテーションをほぼ守り切り8勝を挙げ、2位の黒木優太は55試合に登板して25ホールドをマーク、35試合に登板した小林慶祐、高卒ながら5試合に先発1勝を挙げた山本由伸など1年目から華々しいデビューを飾っている。山岡、黒木のふたりはオールスターにも出場している。

 ドラフト戦略で言うと、一番の成功は2位で黒木を指名したことだった。昨季、最下位だったオリックスはウェーバーで指名できる2位に誰を指名するかがポイントだった。というのも、ドラフト1位は実力だけで選ばれるのではなく、知名度も加味される。そのため、1位の実力者が数人2位に回る。1位候補の実力がありながら全国では無名だった黒木は1位指名から漏れていたのだ。

 黒木が2位にいれば必ず指名したいと考えていたチームは多く、それをいの一番に指名したのがオリックスだった。オリックスは1位で山岡を一本釣りしていての2位黒木だから、いわば1位候補をふたり獲得したようなモノだったのだ。

 近年のオリックスのドラフトの特徴は4年連続一本釣り成功に見られるように他球団の動向を見極めながら指名をしている。よく言えば戦略上手、悪く言えば、“臆病ドラフト”で、競合して抽選で外れるのを恐れてナンバーワンの獲得に走らないところは賛否両論がある。現状、実力者はいるけれどもリーダーが不在になってしまっているのは、そうしたドラフト戦略の影響だ。そこをどう見るかだ。

 既存の戦力から補強ポイントを見ていくと、今年のドラフトではその戦略において悩まざるをえないだろう。なぜなら、現在の補強ポイントに、競合するであろうドラフト1位候補がめじろ押しだからだ。

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