知的にはまったく問題ないにもかかわらず、「読み書き」に対して、不自由さを抱えている学習障害のことをディスレクシアといいます。正式な統計はありませんが、人口の10%ほどがディクレシアであるといわれるほど、この症状を抱えている人たちはたくさんいます。しかし今までは、気づかれなかったり、誤解されたりするケースが多かったといいます。もちろん、子どもでもディスレクシアの症状を抱えている子は多くいます。『AERA with Kids秋号』(朝日新聞出版)では、わが子がディスレクシアかも?と思ったとき、親はどうするべきかについて取材しました。

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 7歳の息子がノートの書き写しが苦手なことから、担任の先生に「目に問題があるかもしれない」と言われたAさん。最初は事実を受け入れられませんでしたが、実際に漢字に苦労する姿を見て、検査を受けることを決意。その後、進学コンサルタントの沖山賢吾さんにこれからの教育について相談をしました。

Aさん:息子がディスレクシアのようで、不安です。

沖山さん:不安なお気持ちはわかりますが、私は小学校低学年でディスレクシアと気づけて、正直「よかった」と感じています。なぜなら、今からできることがたくさんあるからです。

 ディスレクシアの子どもは、文字を読むこと、文字を書くことが苦手ですから、適切なサポートなしには、板書が基本の学校の授業についていくことができません。毎日の宿題の音読や、漢字書き取りも、苦行でしかありません。

 例えば漢字がうまく書けないために、学校で先生に「バツ」をもらい、家では親から「真面目にやんなさい!」と叱られる。そんな毎日を過ごしていたら、学校や勉強が嫌いになるのは当たり前です。

Aさん:見たものを書き写すことが苦手なようです。

沖山さん:ディスレクシアには様々なタイプがあります。視野の一部分が欠けている、暗くなっているという「目の機能的な問題」の場合もありますし、息子さんのように「見たものを記憶しておくのが苦手」な子もいます。また、字が波打って見えたり、反転して見えたりする子もいます。まずは自分のお子さんが、どのようなタイプなのか、知る必要があります。それによって、対策が変わるからです。

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