東海大五高(現東海大福岡)時代の寺岡寛治選手=2010年撮影 (c)朝日新聞社
東海大五高(現東海大福岡)時代の寺岡寛治選手=2010年撮影 (c)朝日新聞社

 きょう26日に開かれるプロ野球ドラフト会議。清宮幸太郎(早稲田実)、中村奨成(広陵)、田嶋大樹(JR東日本)など1位指名が確実な選手の動向に注目が集まっているが、アッと驚くような指名があるのもドラフトの醍醐味である。そこで、全国的には無名だが将来性に溢れる、いわゆる『隠し玉』の候補になる選手について紹介したい。

 まず、紹介したいのが独立リーグに所属する三人の投手だ。中でも評価が高いのが寺岡寛治(24歳・180㎝・85㎏・右投右打・BCL石川)だ。東海大五高(現東海大福岡)時代はエースだったが、故障もあって九州共立大では外野手に転向し、4年春にはベストナインも受賞した。社会人で投手に再転向。NPB入りを目指して今年石川に入団すると、奪三振率12.44(59回1/3を投げて82奪三振)と驚異的な数字を残している。テイクバックで右肩が大きく下がるフォームだが、高い位置から抑え込むようにして投げ下ろすストレートの角度と勢いは目を見張るものがある。ストレートの最速は155キロ。緩急をつける110キロ台のカーブと140キロ前後のカットボールの質も高く、リリーフとしてなら早くから戦力になる可能性は高い。

 寺岡と並ぶ本格派右腕が沼田拓巳(23歳・185㎝・88㎏・右投右打・BCL石川)である。大垣日大高では2年春、3年春と甲子園にも出場しているが同学年に葛西侑也(元新日鐵住金東海REX)という絶対的なエースがいたため、ベンチにも入っていない。高校卒業後は大学を中退しクラブチーム、ドジャースのマイナーを経て一昨年の7月にBCリーグの群馬に入団した。3年目の今年は石川に移籍し、チームトップの8勝をマーク。恵まれた体格とバランスの良いフォームから投げ込むストレートは常時140キロ台後半をマークし、ツーシームとスライダーのキレも申し分ない。

 四国アイランドリーグPLUSの代表格は伊藤翔(18歳・175㎝・70㎏・右投右打・四国IL徳島)だ。横芝敬愛高時代から千葉県内では本格派として評価が高く、徳島入団の1年目からリーグ2位の8勝をマークし、独立リーグ日本一を決めるグランドチャンピオンシップでもMVPを受賞する活躍を見せた。体はそれほど大きくないが、ヒジを柔らかく使える鋭い腕の振りは一級品で、最速は152キロをマークする。高校卒1年目と若さがあることもNPB球団からすると大きな魅力である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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