「冠動脈のCT検査で、動脈硬化の進行を意味する白い石灰化を認めました。冠動脈病変の有無や今後の心筋梗塞や心不全の予測ができる石灰化スコアが高く出ました。また心臓の動きや血液の流れを調べる検査でも、運動負荷時に心臓の一部に血流低下を発見しました」(同)

 ドック入院初日の血液検査で血糖値16mg/dLが確認され、菅野さんは糖尿病を精査後、治療を早期に開始し、以後、動脈硬化の予防に努めるよう指導され、実行している。

 高度循環器ドックの料金は60万円ほどかかる。

「患者さんとして検査を受けた場合の金額をもとに設定していますが、病気を見つけるためのドックには保険が利かず、自費となります。もちろんドックで病気が見つかり、治療する場合は保険診療です」(同)

■突然死を招く不整脈を遺伝子検査で発見

 動脈硬化以外にも突然死を引き起こす循環器病はある。なかでも心拍が乱れる「不整脈」、大動脈の壁が壊れる「大動脈解離」は症状が出たら手遅れになることも多い。

「遺伝子検査をすることで不整脈や大動脈解離の一部のタイプは服薬治療などによる“攻めの予防”ができるようになっています」(宮本医師)

 たとえば、不整脈の原因となるQT延長症候群という病気はかかりつけ医でもできる心電図で異常を認めた場合、その病院から国循などの遺伝子検査をおこなう病院に血液を送れば診断ができ、予防のための服薬などの対処が可能となる。

「当センターにはQT延長症候群の遺伝子検査は年間200~300件の依頼があります。保険診療が可能なので、家族歴のある人は遺伝子検査を検討してください」(同)

(取材・文/山崎正巳)