即戦力の本格派サウスポー・JR東日本の田嶋 (c)朝日新聞社
即戦力の本格派サウスポー・JR東日本の田嶋 (c)朝日新聞社

 今年も運命のドラフト会議が迫ってきた。甲子園を熱狂させた“あの選手”は一体どのチームに行くのか、野球ファンは固唾を飲んで見守っている。そこで、ニュースサイト「AERAdot.」では、年間300試合以上を現地で取材する、野球ライターの西尾典文氏に球団別のおすすめ選手を選んでもらった。今回は今季セ・リーグで最下位に沈んだ東京ヤクルトスワローズだ。

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 球団ワースト記録を更新するシーズン96敗を喫し、ダントツの最下位に沈んだヤクルト。投手陣のコマ不足は深刻だが、終盤にエースの小川泰弘、ルーキーながらローテーションを守っていた星知弥の右ひじ骨折が発覚し、今年以上に厳しくなることが予想される。リリーフ陣も含めて、即戦力が期待できる投手の獲得は必要不可欠だ。

 一方の野手は川端慎吾、畠山和洋が故障から復帰すれば、ある程度のめどは立つ。なかなか固定できないショートと有望株の若手が少ない外野手が補強ポイントとなるだろう。

【おすすめ選手・その1】
田嶋大樹:JR東日本 投手 182cm 77kg 左投左打

 即戦力という意味では、やはり田嶋が最優先の選手となる。高校時代にひじを痛めたことはあったが、社会人では3年間故障らしい故障はなく、フル回転してきた実績には太鼓判が押せる。なかなかいない先発タイプの本格派サウスポーであり、100球を超えても球威が落ちず、完投能力の高さも秀でている。スピードのあるサウスポーがほとんどいないチーム事情にもマッチしており、1年目からローテーションの中心として期待できるだろう。

【おすすめ選手・その2】
鍬原拓也:中央大 投手 175cm 70kg 右投右打

 即戦力が期待できる先発タイプの右腕としては鍬原がおすすめだ。早々にノックアウトされる不安定さはあるものの、ボールの力は大学生の中でも指折り。年々巧さが出てきており、速いボールを見せ球にして変化球主体で打ちとるピッチングもできる。下半身主導のフォームで、肩やひじに負担の少ない投げ方ができているのも故障者が多いチームにとっては頼もしい限りだ。小川と星の穴を埋める投手として、2位で残っていればぜひ指名したい選手である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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