楽天側の思惑通りに、ソフトバンクが動いてしまった……。

 連敗につながったのは、必然の流れなのかもしれない。投手は2試合で計5失点。2試合とも1点差という惜敗で、打線の沈黙ぶりが際立ってしまう。左の主砲・柳田悠岐を欠いているだけに、少ないチャンスをいかにしてものにするか。ベンチワークを含めて打線の一工夫が、巻き返しには不可欠だろう。

 「切り替えて、明日(第3戦)、頑張りましょう」と工藤監督は試合後、自分に言い聞かせるかのように、大きな声で会見を締めくくった。2007年に現行のCSが発足して以降、昨季までの過去10度のFSでステージ突破を果たしたパ・リーグのチームはすべて、その初戦を取っている。つまり、初戦から連敗したチームがFSを勝ち抜いたケースはない。

 3位・楽天に15.5ゲーム差をつけ、ぶっちぎりの優勝を果たしたソフトバンクがまさかの連敗。楽天は3戦目に則本昂大、4戦目に岸孝之、5戦目には美馬学(4、5戦目は予想)と3本柱を先発に投入してくるとあり、形勢は一気に楽天に傾きつつある。その苦境の中、ソフトバンクが底力を見せられるのか。3戦目以降は、まさしく「王者の意地」が問われる戦いになる。(文・喜瀬雅則)