ロボットのさらなる進化で未来の仕事はどう変わるだろう? 働くロボットの最新事情を見てみよう。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、ITジャーナリスト・神崎洋治さん監修の解説を紹介しよう。ロボットクリエイターの高橋智隆さんからのアドバイスも掲載した。

介護の現場で活躍するロボット「ROBEAR」。接触部分に高精度センサーがあり、人を優しく抱え上げて安全に運ぶことができる (c)朝日新聞社
介護の現場で活躍するロボット「ROBEAR」。接触部分に高精度センサーがあり、人を優しく抱え上げて安全に運ぶことができる (c)朝日新聞社

■同じ空間で安全に働ける環境を

 今後、ロボットと人間が共に生きる社会のテーマは「協働」。これまで、特に工場などで稼働する産業用ロボットは、ぶつかってケガをする危険性などから「ここまではロボット、ここからは人間」と作業スペースが区切られていた。しかし、これからは、人間とロボットが同じ空間で隣り合って働ける環境づくりが進むと予想されている。

 というのも、少子高齢化で働き手が減少していく社会では、ロボットの労働力がますます必要になる。でも、ロボットと人間が別空間で働いていたら、永遠にロボットは人間の代わりにはなれないだろうと多くの専門家たちは考えているからだ。いま、さまざまな分野で、ロボットと人間が安全に「協働」するための工夫がされ始めているよ。

■人間とロボットの得意は正反対

「私がなりたい職業は、将来、ロボットや人工知能に奪われてしまうかも」と心配している人もいるかもしれない。確かに、いろんな職業でロボットや人工知能の影響はますます大きくなり、実際になくなる仕事もあるだろう。

 でも、ロボットと人間では、もともと得意な仕事が違う。24時間休まずに稼働できるなどの利便性や、作業効率の面ではロボットは人間を超えているし、単純な知識の量は人間よりもコンピューターのほうがはるかに詰め込める。でも、進化するこれらの技術を社会のためにどのように利用するか考えたり、いままでにない新しいことを創り出したりするのは、人間にしかできないことなんだ。

 こうした時代に備えるため、ロボットや人工知能、人間自体について学ぶ教育方針「STEAM」が注目されている。

【キーワード:STEAM】
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったもの。理数系や芸術分野に強い人材を育成する教育として注目されている。

【高橋さんからアドバイス】
<ロボットクリエイターになりたいキミへ 実用性よりも「好き」を大切に>

 私が監修しているヒューマンアカデミーのロボット教室は現在、全国に1千教室以上。5歳~中学生の約1万5千人が通っています。ロボットのアイデアや技術を競う、年に1度の全国大会では、ときに天才的な能力を持つ子どもが登場します。彼らは経験は少ないけれど、アイデアや創意工夫に関しては大人以上。私は指導するというより、子どもたちに負けないように、作品を通じて真剣勝負をしている感じです。

 ロボットクリエイターを目指す人は、ぜひ自分の手を動かして、好きなもの、おもしろいと思うものを追求してみてください。それが完成すれば、多くの人の共感を呼び、自然発生的に使い道が生み出されて、結果的に多くの人の役に立つ商品になるはずです。

※月刊ジュニアエラ 2017年10月号より

ジュニアエラ 2017年 10 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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