独自の進化を遂げてきた日本のロボット。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で、ロボットクリエイターの高橋智隆さんに、人型ロボットの未来について聞いてみたよ!

現在、大阪市立科学館に設置されている、2008年に復元された学天則 (c)朝日新聞社
現在、大阪市立科学館に設置されている、2008年に復元された学天則 (c)朝日新聞社

■お家芸だった二足歩行ロボット

 ロボット開発の歴史を振り返ると、研究者たちはずっと「二足歩行」に魅せられてきたように思います。そして日本は世界に先駆けて、「WABOT|1」や「ASIMO」のような二足歩行のロボットを発表し、人々を驚かせてきました。

 しかし最近では、アメリカのボストンダイナミクス社が、これまでの日本の技術を超える「アトラス」などを生み出しています。それでもなお、「役に立つロボット」には程遠い。家事から車の運転、仕事まで何でもこなす人型ロボットという目標自体が誤っているのではないかと考えられ始めています。

 さらにいま、人工知能の分野では、アメリカや中国が大きくリードしています。かつてはロボット先進国といわれた日本のロボット開発は、今後どうなっていくのでしょう。

■アニメやマンガがものづくりに影響

 私は、日本のロボットの強みは「小型のヒューマノイド(人型)」にあると感じています。日本のロボットは海外のものと比べると、人間らしさがあってかわいらしいものが多いでしょう?

 それは「鉄腕アトム」や『ドラえもん』などのアニメやマンガの影響がとても大きいと思います。ハリウッド映画に出てくるような、無骨で機械的なロボットや、人間を襲うアンドロイドなどに怖いイメージを持つ海外の人々に比べて、日本人はロボットにフレンドリーな感覚を持つ人が多く、それがものづくりにも生かされています。

 私がつくる「ロビ」や「ロボホン」などは、決して実用的ではありませんが、親しみや愛着が持てるデザインや機能にこだわっています。二本足をつけるのは、速く移動するためではなく、それがあることで人間っぽさや生命感が出るからです。そして、小さくてかわいらしいものに親しみを抱くのは日本人だけでなく、万国共通のことなのです。

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AERA dot.編集部
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