左から、太田差惠子さん、中村寿美子さん、濱田孝一さん(撮影/写真部・小山幸佑)
左から、太田差惠子さん、中村寿美子さん、濱田孝一さん(撮影/写真部・小山幸佑)

 高齢者ホームに関する本やウェブサイトは数あれど、実際のところ、何をもって「いいホーム」と言うのだろう。お金? それとも設備!? 発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、メディアや講演などで活躍している3人のホーム選びの「プロ」に相談。ホンネを聞き出したので、3回に渡ってお届けする。3回目となる今回は、医療体制などについて聞いた。

*  *  *

――医療体制がどうなのか気にしたほうがいいのでしょうか。

濱田:医療体制は重要ですが、自己選択ができるかどうかが問題です。家にいるときは内科に月2回行くだけだったのに、ホームに入ったら認知症も歯科もなんでも訪問診療になって、その診療費だけですごい金額になるケースもある。看護師の話ばかりを聞いて薬をどんどん出す利益ありきの医師もいれば、家族に丁寧に説明してくれる医師もいます。ですから「医療は協力機関におまかせしています」というホームはだめです。

中村:強制的に協力医療機関しか使わせないホームはだめ。

太田:介護付き有料老人ホームには看護師が24時間体制でいるものだと思い込んでいる人が相当います。実際は全体の2割ぐらい。

濱田:医療行為もできるとパンフレットに書いてある施設を見受けますが、実際は対応しきれなくなって入院になる場合が多い。すると入院費と施設費用の両方を負担することになります。さらに看取りは相当な経験と実務、説明力などが必要です。看取りをちゃんとやるのはなかなか難しいですよ。

中村:看取りをやっているかどうかを施設に聞けば、だいたいは「やっている」と……。

太田・中村・濱田:答えますね。

中村:昨年のこの本のリストで看取りの有無が載っていたでしょう。あれ意味ないですよ。

――そ、そうですか……。

太田:具体的にどういう看取りをしているのか聞いたほうがいいですね。看取りをするためには「看取り指針」を整備して、家族と一緒に「ターミナルケアプラン」というものを立てるんです。医療体制が24時間のところでも100%の安心・安全はありません。

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