■「女性的な共感」は訓練しないとできない

 こういう説明をするのは、そもそも理性優位の男性のためなのですが、イメージが分かっても、いきなり実行するのは正直、難しいです。

 練習するならまずは、相手に何か言われたとき「ああ、そう思うんだ」と返す練習からしてみてください。相手の話が受け入れられない内容なら、「君は(あなたは)、そう思うんだね」もOKです。そのぐらい、いつもやっている、と思われる方は、パートナーに聞いてみてください。自分は、何か言われたとき第一声で「ああ、思うんだ」「君はそう思うんだね」と反応しているかどうか。聞くのが難しければ、やり取りを録音して聞き返してみてください。同じ意味だけど別の言い方をしているというのはほとんどの場合アウトです。

 その次のステップは、指示語の「そう」を抜かすことです。「ああ、<そう>なのか」はどんなときにも使える、便利な言葉ですが、逆に言えば、内容を理解していなくても言えます。だから、指示語を抜いて、相手が言ったことを自分はどう理解しているのか、復唱してみるのです。

 これは相当難しいです。

 これができるようになって初めて、相手の言っていることがわかったということなので、ようやく、相手と同じ気持ちの揺れを追体験する(共感する)スタートラインに立ったのです。ただし、実際には、そこまでしなくても、指示語の「そう」を抜かす段階がちゃんとできれば、コミュニケーションは画期的に改善します。

■ゴールはわかってもらえた<感じ>

 共感しても相手にわかってもらえなければ意味がないのではないか、と思われるかもしれません。確かに相手に「共感してもらえた感じ」が生じることが必要です。そうなると男性的な頭だと、自分が共感していることをどうやってわかってもらうか、という話になりがちですが、これが落とし穴です。私の経験では「(相手の気持ちを)わかっている」と言った人にわかっていた人はいません。

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