ヤクルト・小川新監督は狙い通りのドラフトにできるか (c)朝日新聞社
ヤクルト・小川新監督は狙い通りのドラフトにできるか (c)朝日新聞社

 今月26日にいよいよプロ野球新人選択会議(ドラフト)が開催される。今年は早稲田実業の清宮幸太郎や広陵の中村奨成を始め、高校生の逸材が光る。各球団はどのような思惑でドラフト会議に臨むのか、探ってみよう。今回は今季セ・リーグ最下位に沈んだ東京ヤクルトスワローズだ。

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 セ・リーグ最下位のヤクルトは全ポジションが補強ポイントだ。

 小川淳司シニアディレクターが4年ぶりに監督復帰するが、編成トップとして米国に渡るなど、チームを俯瞰して見てきた指揮官がどのようなチーム運営をするかは注目だ。戦力不足を数年間の時間を見据えて将来性を重視するのか、目先を追いかけて即戦力選手で厚くしていくのか、方針によって選択は変わってくるだろう。

 これまでの報道を総合すると、ドラフト1位指名には、神宮を舞台に活躍していたということで、清宮幸太郎(早稲田実)の指名を狙っていると伝え聞く。しかし、果たして、この方針はどうだろうか。

 確かに、今のヤクルトは主砲候補の畠山和洋が離脱しているために一塁を守る長距離砲が欲しいのは事実だが、真っ先に穴を埋めなければならないのは投手力の方だ。清宮の指名ができるほどの余裕はない。

 さらに言えば、2016年まで3年連続開幕投手を務めた小川泰弘、ルーキーイヤーながらに活躍を見せた星知弥が疲労骨折を患っているため、来季のめどが立っていない。先発陣だけでなく、ブルペンも枚数が足りているとはいえず、WBC日本代表の疲労から苦しんだ秋吉亮を手助けする人材も必要となってくるだろう。

 そう考えると、ひとまず名前が挙がるのは、社会人屈指の右腕・鈴木博志(ヤマハ)だ。

 高卒3年目の鈴木はまだ将来性を見込めるが、すでにストレートは157kmを計測。カットボールなど空振りをとれる球種もある。先発・抑え、両面に対応できる投手として、これ以上の選手はいないだろう。投手を第一に考え、鈴木の指名を最優先に考えるべきだろう。

 さらに、左腕の即戦力投手も補強ポイントだ。

 現在のローテーションには石川雅規しかおらず、彼の年齢を考えても次世代のエース級も狙いたいところだ。そうなってくると、JR東日本の田嶋大樹が適任だ。あくまで、右腕の指名を回避した場合ではあるが、田嶋はゲームメイク能力に優れ、今すぐにもローテーションの一角を担える完成度の高い投手だ。寡黙な職人タイプという点では、村中恭兵と重なる部分がある。左腕なら1番手に指名したい投手と言える。

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