最も現実的な落としどころが、自分のイライラをまず認めること。イライラはパートナーとのつき合いの中で、自分が何らかの不満足を強いられているという信号。「イライラなんて感じたくない、消えてしまえ」と否定しても、その信号は逆に、大きくアラームを鳴らしてきます。


 
 そこでまず「(危険を教えてくれて)ありがとう」とつぶやき、自分の「感情」を認めてください。そうすると、少し穏やかに感じ始める。そのあとは、ひたすら呼吸に意識を向けるのです。

 イライラしているのには、理由があるので、何かをやったからと言って、急に機嫌よくなるような魔法はありません。あるのは、先に上げた2つの最悪ケースを避けるための方策です。

 ありがとうとつぶやくことで、自己否定しなくて済みます。その後、呼吸に意識を向けることで、相手を攻撃したくなる衝動をそらすことができます。すると、自分をコントロールできた感覚(第2の自信)が強くなるだけでなく、結果的にイライラや我慢を長引かせることで疲れ果てて、相手を嫌いになるという、最悪のパターンを避けることができるのです。

 大切な関係で、イライラしてしまったら、「ありがとう瞑想」。

 怒りに乗っ取られた「攻撃」か、あるいは、自分の感情を押し殺す「我慢」か。外交もそうですが、そんな極端な方法だけではなく、柔軟な大人の対応を練習したいものですね。(構成・文/向山奈央子)