代表初ゴールを決めた杉本健勇(撮影・六川則夫)
代表初ゴールを決めた杉本健勇(撮影・六川則夫)

 ハイチ代表を招いてのキリンチャレンジカップが10月10日に日産スタジアムで開催され、日本代表は倉田秋(ガンバ大阪)の2試合連続ゴールとなる先制点、杉本健勇(セレッソ大阪)の代表初ゴールで2-0とリードしながら、ハイチの反撃にあって2-3と逆転を許す。それでも、なんとか後半アディショナルタイム2分に、香川真司(ドルトムント/ドイツ)が酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)のシュートに反応して押し込み、3-3のドローに持ち込んだ。

「同じスタメンにはならない」とハリルホジッチ監督が話していたように、6日のニュージーランド戦のスタメンからハイチ戦では9人が入れ替わった。にもかかわらず前半7分、杉本の縦パスを長友佑都(インテル/イタリア)がワンタッチで折り返すと、倉田がふわりと浮かすヘッドで先制点をもたらした。ドーハの悲劇のイラク代表、オムラム・サルランの同点ゴールを想起させるゴールでもあった。

 さらに17分には倉田のシュートのこぼれ球から杉本が決めてリードを広げる。立ち上がりのハイチはマンマークがルーズで、攻撃は1トップの21歳の巨漢FWデュカン・ナゾンにロングボールを供給するだけ。日本のゴールラッシュも期待された前半の立ち上がりだった。

 しかし前半28分にケビン・ラフランスに1点を返されると、後半8分には素早いFKのリスタートからナゾンに決められて2-2の同点に。さらに後半33分には再びナゾンにミドルシュートを沈められ逆転を許した。

 後半のハイチが「アグレッシブにボールホルダーにプレスをかけると嫌がっていたので、後半はより強くした」(マルク・コラ監督)こともあるが、日本は「何人かの選手は精神的にパニックになった。気が緩んだ選手もいて、全力で帰らない選手がいた。メンタル面で脆さが見えた。それが一番のショックだった」とハリルホジッチ監督が述べたように、日本が自滅した試合でもあった。

 ワールドカップ出場を決めている日本の選手たちにとって、10月のキリンチャレンジカップ2試合と、11月の欧州遠征、そして12月の東アジアカップは、ロシア行きの切符を争うサバイバルの場でもある。乾貴士(エイバル/スペイン)が「点を決めている選手か、所属チームが上位にいないと代表に呼ばれない」と評したように、攻撃陣には結果が求められた。

 その点、以前に「前半から出ていれば違った結果になったかもしれない。交代だと流れを変えないといけないので難しい」と話していた杉本は初のスタメンで結果を出したし、倉田もこの2試合で2ゴールを決めた。しかしながら途中交代の原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)の「(ハイチは)組織的ではないが、パワーとかスピードはある。やってみないと分からないが、いいチームかもしれない」という不安が的中する形となってしまった。

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