山田孝之 (c)朝日新聞社
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柴咲コウ (c)朝日新聞社
柴咲コウ (c)朝日新聞社

 最近になって人気芸能人による起業が大きな話題を集めている。

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 昨年11月にはNHKで現在放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」で主演を務める女優・柴咲コウが音楽事業、ファンクラブを前身としたメディア事業、そしてEC事業の3つを核にした会社を立ち上げ、代表取締役CEOに就任した。

 昨年9月には俳優・山田孝之がITサービスを提供するトランスコスモスと共同で新会社「me&stars(ミーアンドスターズ)」を設立し、自ら取締役CIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)に就任したことを発表。

 企業支援サービスなどを手掛ける「トランスコスモス」の子会社として、同社が行っている企業向けのEコマースなどの事業を一般消費者向けに特化し、著名人が出演してライブ配信で商品を紹介したり、販売したりしていくサービスを提供するという。

 ともに大手芸能事務所「スターダストプロモーション」所属の人気役者というのも業界内では話題となっており、柴咲に関しては一部メディアで独立も取り沙汰された。

 実際、柴咲が立ち上げた会社の業務内容の現状を見る限り、音楽事業やメディア事業など、本業である芸能活動に関連した事業内容となっており、現状ではいわば“社内独立”に近い形なのかもしれない。

 昨今の芸能界においては、ジャニーズ事務所を退所した元「SMAP」の3人のように、よほどの納得できない理由がない限り、わざわざ古巣としこりを残してまで完全独立するメリットはないように思う。

 芸能界は想像以上に狭い世界だ。

 それに、タレントの独立や移籍を快く思わない風潮が全体としてある。

 その背景には、米ハリウッドなどとは異なり、多くの芸能事務所が才能の発掘だけでなく、育成も手掛けているという側面があるからだ。

 例えダイヤモンドの原石でも磨いたり、その価値を世に提示したりしなければ“商品”にはならない。

 寮に住まわせて衣食住の面倒を見たり、レッスンを受けさせたり、マネジャーやスタッフを使ってテレビや雑誌に売り込んだりと、新人タレントの育成には何かと初期投資がかかる。

 それでいて、結果的に“商品”として成立するのは、ほんの一握りだけでリスクも高い。

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三杉武

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動している。週刊誌やスポーツ紙、ニュースサイト等で芸能ニュースや芸能事象の解説を行っているほか、スクープも手掛ける。「AKB48選抜総選挙」では“論客(=公式評論家)”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当。日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表も務める。

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