その小林がCKの時に「もう健勇しか狙ってなかったんで(笑)。あいつに点取らしたいなって思っていた」と語る杉本はニュージーランド戦の短い時間では結果を出せなかった。スタメンの方がやりやすいかというある記者の質問に対して「当たり前でしょう!代表でしか途中出場をしていないので」と笑いながら答えた杉本だが、「先発で出たいので、途中出場で出て頑張らなければいけない部分もありました」と素直な心境を語った。

 ハイチ戦ではいよいよスタメンのチャンスが回ってくる可能性が高い。ただ、ハリルホジッチ監督が「同じ選手に10回もチャンスを与えることはできない」と語る様に、特に欧州遠征に向けてはシビアな“最終テスト”になるはずだ。そのためにはゴールという結果が求められるが「周りを生かさないといかせてもらえないと思う」と、単なるエゴイストではなく、FWとしての役割を果たしながら虎視眈々とゴールを狙う姿勢を表す。

「メンバーが変われば全員がアピールしたいし、自分のプレーを見せたいと思うので、そこで独りよがりのプレーではなく、しっかりと自分のプレーも見せつつ、周りも生かすプレーをしていきたい」

 全員がアピールしたい。杉本が言う通り、例えばニュージーランド戦で後半37分に投入され、その5分後に決勝ゴールをあげた倉田秋(ガンバ大阪)も先発でチャンスをもらえば、よりシビアに戦術的な役割や相手に疲労がない状況でのプレーをチェックされる。アンカーで起用が予想される遠藤航(浦和レッズ)、最終予選から何度も招集されながら、今回が初出場となる植田直通(鹿島アントラーズ)にしてもそうだ。

 「(メンバー外でも)いい選手はたくさんいる」とハリルホジッチ監督は強調する。ハイチ戦でチャンスを与えられるメンバーにとって日産スタジアムは間違いなくサバイバルの場となる。(文・河治良幸)