来るべき本大会へ向けて復活を期する香川(写真:getty Images)
来るべき本大会へ向けて復活を期する香川(写真:getty Images)

「責任を感じる。自分の実力不足を感じる」

 コロンビアに1-4で敗れたあとに香川真司はこう語り、2014年のブラジルワールドカップを終えた。うまくいかなかった理由は個人、チーム、いろいろとあるだろう。

 2010年の南アフリカワールドカップでは最終メンバーに選ばれず、サポートメンバーとして欧州遠征から帯同した。大会後にドルトムント(ドイツ)で活躍し、日本代表の押しも押されもせぬ10番として注目を集めたが、12年に移籍したマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)の2シーズン目に出番を失った。そして、コンディションを崩した状態でワールドカップ本大会の行われるブラジルへ向かう代表チームに合流する。

 ワールドカップへ向けた壮行試合のキプロス戦では、鹿児島合宿で負荷をかけた直後の試合という背景はあったものの、走行距離が8.79キロと通常より約2キロも落ちていた。本人もフロリダ合宿の取材で「もっと走っているイメージだったので切なかった」と語っていたのが印象的だ。そこからリカバリーでリフレッシュして本大会に臨んだものの、好調時のパフォーマンスを発揮することなく、チームも1分2敗で終戦。もちろん香川だけが悪かったわけではないが、メディアやファンからは香川を“戦犯”のひとりとして挙げる声が相次いだ。

 あれから3年以上が経ち、香川もドルトムントに復帰して4シーズン目を迎えた。アジア最終予選では、親善試合のシリア戦で負った肩の状態が戻らず、本大会出場がかかったオーストラリア戦をベンチで見守り、サウジアラビア遠征を前にチームを離れることを強いられた。そこから復帰したクラブでもレギュラーを奪えているわけではない。しかし、代表合流直前のアウクスブルク戦では華麗なループシュートを決め、与えられたチャンスを生かしてみせた。それはブンデスリーガで日本人歴代単独トップとなる38点目のゴールでもあった。

「どれだけ攻撃においてチームを引っ張っていけるかって意味では、すごく楽しみなゲームだと思います」と、今回の親善試合2試合への意気込みを語る香川。ワールドカップに向かう残り1年間の過ごし方について質問されると「あの時はまだ25、26歳の時で、いま考えればまだまだ未熟だった部分もすごくあったし、そういう経験を得たから今、自分自身もメンタル的なところですごく安定している」と落ちついた声で答えた。

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