「人件費も含め、これら3つの費用は“会社の経営の意思が表れる費用”です。経営陣が、会社の先行きをどのように考えているのかは、これらの費用の増減を見れば、ある程度推測できます」

 例えば、広告宣伝費が高い場合は、新商品の売り出しに力を入れているとも考えられるし、既存の商品が売れていないため無理やり宣伝しているとも考えられる。また、研究開発費が削られている場合は、将来的には会社の競争力が低下することを意味する。他社に比べて、魅力的な商品を生み出せなくなることで、そのしわ寄せが賃金削減やリストラといった形で、従業員に跳ね返ってくることも十分に考えられるのだ。

「決算書を適切に読み解くポイントの一つは、『費用の必要性を知る』ことです。“出費”という観点で捉えると、『費用は少なければ少ないほどいい』と考えがちですが、それは大きな間違いです。原材料費などは1円でも安くする企業努力も必要ですが、種類によっては将来への投資的な側面もあることを忘れてはなりません。私たちがもらっている給料だって、会社側から見れば『人件費』という費用の一部なのですから」

(文・澤田憲)