そのポテンシャルを垣間見せたのが、開催国王者として参戦した昨年末のクラブW杯だった。アフリカ王者マメロディ、南米王者アトレティコ・ナシオナルを撃破し、最後は欧州王者レアル・マドリーと対戦する中で“デュエル”が発揮される場面が多かった。ニュージーランドはブラジルW杯をひかえた2014年3月に対戦し、4‐2で勝利した相手だが、今回のチームでもエースに君臨する191cmの大型FWクリス・ウッドに2つのゴールを許した。

「そういう相手は僕は大好きですし、そういったところでは負けられないので、そういった相手が来ても全て出したい」と意気込む植田。味方との連係については「出てみないと分からない」と語る植田だが、相手の大型FWとの“デュエル”には注目したい。その実力を図るにはニュージーランド戦が打ってつけだが、ハイチにも身体能力の高いFWが揃うため、見所は大いにありそうだ。

 攻撃面のプラスアルファとしては最終予選でなかなか出番の無かったMFの小林祐希とFW武藤嘉紀も面白い存在になりそうだ。2人に共通するのは競争意識が高く、出場チャンスに飢えていること。今回の2試合は予選や本大会と違う難しさがあるが、彼らは出場機会を与えられれば、獲物を狙う様に結果を求めて武器をアピールしていくはずだ。

 小林はオランダで対人の強さや攻守のバランス感覚を高め、ボランチでのプレーも様になっているが、持ち味は何と言っても攻撃センスといかなる時も物怖じしない積極性だ。代表チームの中での自分の生かし方については「自分を見つけている最中」と語るが、その上で「ここでシュートだって時の、シュートを打つ決断力というか、思い切りのよさとか、スルーパス狙うとか、ドリブル仕掛けるって言った時の思い切りのよさ」が強みであることを自認する。

 武藤が最も意識するのはFWとして点を取ること。「もうホントに簡単で、得点に絡むこと、ゴールを取ること。前の選手である以上、やっぱそれを求められている」今季のブンデスリーガですでに3得点を記録しているが、代表ではそう多くチャンスが与えられるわけではない。その中で、とにかくゴールという結果を出し続ければ評価も必然的に上がると考えているのだ。

 ここからの競争ではハリルホジッチ監督が求めるプレーをしっかりとこなしながら、それぞれの持ち味を発揮し、良い意味で指揮官を驚かせることができるか。逆にそれができなければ他の候補に取って代わられる可能性もある。

 チーム作りの“第三段階”と位置づけられる本大会までの期間のスタートに現在のメンバーがどれだけのものを出せるか。それがブラジル、ベルギーという強豪と対戦する11月の欧州遠征、国内組で参戦する12月のE-1(東アジア杯から名前を変更)でのメンバー選考にも大きく影響してくる。(文・河治良幸)